7. From Beethoven & Mozart to Zemlinsky

◇ベートーヴェン/『プロメテウスの創造物』 作品43より 序曲 04:53
◇モーツァルト/交響曲第38番ニ長調 K.504 『プラハ』
Ⅰ.10:18 Ⅱ.8:17 Ⅲ.6:09
◇ツェムリンスキー/『抒情交響曲』についてトーマス・ハンプソンのインタビュー
29:34
◇ツェムリンスキー/抒情交響曲 作品18
Ⅰ.11:34 Ⅱ.7:01 Ⅲ.6:59 Ⅳ.7:34 Ⅴ.2:03 Ⅵ.4:46 Ⅶ.8:47

指揮/ネーメ・ヤルヴィ
S/Hillevi Martinpelto
Br/トーマス・ハンプソン

録音/2009年11月
Total Time/108分

🎶
このNYPのシリーズは、音楽監督であったアラン・ギルバートの指揮による音源が多いのですが、この盤のように客演指揮者の指揮になるものも少なからずあります。 これはその中の一枚で、指揮は今年もう80歳となったネーメ・ヤルヴィ。まあ、カリスマ感のある方ではないので日本ではそれほど人気のある指揮者ではないと思うのだが、天下のBPOとの録音もあるわけでもはや立派な巨匠である。

ヤルヴィには思い出があって、小学生くらいの時にレコ芸のプレゼントになんとなく応募してみたら、エーテボリ交響楽団とのシベリウスの2番のアルバムが思いがけなく当たったことがある。
当時はシベリウスなんて聴いたことなかったし、ベルリンフィルとかウィーンフィルしか知らない子どもにはエーテボリってどこ?って感じだったんだけど、シベリウスの透明感あふれる(北欧っていうだけでかなり先入感入ってる…)音楽がやたらと新鮮で魅了されたのを覚えている。BPOとのボロディン集もよく聴いたなあ。…ということで、ヤルヴィにはいろいろとお世話になってます。

今や世界で最も忙しい指揮者の一人であるパーヴォを筆頭に子どもたちがみんな音楽家ということから、お父さんのDNAがいかに凄いかがわかるというもの。でも、前から思ってたんだけど、パーヴォってお父さんと全然似てませんね…。

ヤルヴィとNYPというのは今ひとつピンとこなかったんだけど、15年間にわたってデトロイト交響楽団の音楽監督だったことからも、旧ソ連出身ながら意外や意外アメリカにも縁の深い指揮者だということを改めて知る。録音もドイツ音楽などは他の有名どころに回ってしまって、ロシア物や現代音楽しか入ってこないから、この盤のようにヤルヴィのモーツァルトやベートーヴェンというのは新鮮だ。

でも、この盤の注目はやはりメインのツェムリンスキーなのでしょう。オフィシャルHPのクレジットには無いものの、音源を実際にダウンロードすると本編の前に30分程度のトーマス・ハンプソンのインタビューが付いてきます。英語のわかる方はぜひ(笑)。

ツェムリンスキーという作曲家は、正直マーラーの奥さんアルマにふられたとかいう下世話なエピソードを知っているだけで、恥ずかしながら一度も聴いたことがないのだけど、この『抒情交響曲』はそのマーラーの『大地の歌』と同様、2人の声楽者(ソプラノとバリトン)を必要とする6楽章から成る交響曲らしい。

『大地の歌』との比較については作曲家本人も触れているそうなので、さぞかしマーラーっぽいのかなと本編を聴いてみる。いきなり仰々しい冒頭になんだなんだ?としばらく聴き進むと、あることに気付く。

「マーラーじゃない。コルンゴルトだ…」

この濃厚な弦楽器の使い方やメロディーラインは、オペラ『死の都』やヴァイオリン協奏曲といった作品で知られるコルンゴルトの雰囲気に近い。きっと影響を受けているに違いないと調べれば、同じオーストリア人というだけでなく、コルンゴルトはツェムリンスキーの弟子だったらしい(逆かと思った)。ツェムリンスキー自身も、コルンゴルトの圧倒的な才能に「どちらが弟子かわからない」と言ったとか…。いずれにせよ、20世紀初頭のヨーロッパの香りがそこはかとなく感じられる音楽である。

NYP Music Collective

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