8. Haydn,Sibelius,Martinů

◇ハイドン/交響曲第95番 ハ短調 Hob.I:95
【1】第1楽章 4:52
【2】第2楽章 4:48
【3】第3楽章 4:16
【4】第4楽章 3:40
◇マルティヌー/ピアノ協奏曲第4番『呪文』
【5】第1楽章 9:38
【6】第2楽章 10:25
◇シベリウス/交響曲第1番
【7】第1楽章 11:14
【8】第2楽章 9:01
【9】第3楽章 5:15
【10】第4楽章 12:21

指揮/シャン・ジャン(Xian Zhang)
Pf/ギャリック・オールソン

録音/2009年11月
Total Time/76分

🎶
前作に続き、ひとつの演奏会をそのままパッケージしましたという趣の一枚。今回も指揮はギルバートではなく、1973年生まれの中国系アメリカ人女性指揮者シャン・ジャン。この方は初めて聞くお名前だったんだけど、1998年に中国からアメリカへ移住し、その後ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督だったマゼールの目に留まり、アシスタント・コンダクターをしていたそうで、現在はニュージャージー交響楽団の音楽監督を務めているそうです(前回ご紹介したネーメ・ヤルヴィもその職にあった)。

ハイドンの95番は「ロンドン・セット(ザロモン・セット)」の一曲で、唯一短調の作品として知られる。そのうちご紹介させていただく「V字(88番)」の有名な第2楽章同様、この曲も第2楽章や第3楽章でヴァイオリンやチェロの独奏パートがあり、こういうところはいかにもハイドンらしい。第4楽章は『ジュピター』を彷彿とさせる疾走感だけど、モーツァルトに比べて少し野暮ったく感じさせるところもまたハイドンらしい。

シンプルだけど味わい深く、基本的に緊張感を強いる音楽ではないので、ハイドンを聴くことはベートーヴェンやマーラーを聴くのとは違った楽しみがある。。そういえば、最近ラトルがロンドン響と面白いアルバムを出しましたね。
『ハイドン・想像上のオーケストラの旅』というタイトルで、ハイドンの楽曲の中から10曲程度を選んでひとつのアルバムに再構成したもの。オラトリオの『天地創造』や『四季』、交響曲は第6番『朝』や第45番『告別』、そして「偽終止」でおなじみの第90番などが取り挙げられている。ラトルはBPOとのハイドン交響曲集でも「偽終止」をやっていたのでご存知の方も多いでしょうが、これは最終楽章でいったん終わりに見せかけながら、実はまだ終わりではないというもの。両盤とも、お客さんが偽の終わりで拍手したり笑ったりしてるのが楽しい。ぜひ聴いてみてください。

マルティヌーの独奏はギャリック・オールソン。恥ずかしながら、この方も存じあげなくて調べてみたら、何と1970年のショパン・コンクールの優勝者ではないですか!そして、その時2位だったのが我らが内田光子さんだったとは…。今や、内田さんの方がご活躍なのでは?まあ、こういうのは紙一重なんでしょうね。あの大巨匠アシュケナージも2位だったというし。

マルティヌーのピアノ協奏曲第4番は1956年に完成され、その年にNYPによって初演されたという曲(指揮はストコフスキー)。「頼まれたら嫌とはいえない作曲家」と呼ばれる(?)ほど多作家のマルティヌーだが、ピアノ協奏曲は生涯で5曲(意外に普通だ…)。2楽章構成のこの協奏曲は、マルティヌー晩年の作品であり初期のピアノ協奏曲の作風とは全く異なる。チェコ出身だからといってドヴォルザークのような民族的な音楽を期待してもいけないし、だからといって現代音楽でもない。強いて言えば、ストラヴィンスキーやプロコフィエフのようなロシア的な雰囲気を漂わせる音楽である。なぜ、『呪文』という標題がついているかは、よくわからないみたい。

少し長くなってしまったので、シベリウス についてはまた別の機会に。

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