11. Schumann to Webern: The Austro-German Line
◇ウェーベルン/『夏風の中で』
【1】14:48
◇ウェーベルン/交響曲 作品21
【2】第1楽章 4:11
【3】第2楽章 2:38
◇シューマン/交響曲第2番 ハ長調 作品61
【3】第1楽章 12:28
【4】第2楽章 7:07
【5】第3楽章 10:08
【6】第4楽章 8:42(拍手)
指揮/アラン・ギルバート
録音/2009年12月〜2010年1月
Total Time/60分
🎶
今回はギルバートによる指揮で、『シューマンからウェーベルンへ』という一枚。シューマンといえばロマン派を代表する作曲家、ウェーベルンといえば新ウィーン学派のメンバーの一人。例えば、今回のシューマンの交響曲とウェーベルンの交響曲とでは、その作曲方法も音楽の持つ雰囲気も全く異なるけれども、そこにウェーベルンの『夏風の中で』を持って来ることで、ウェーベルンも立派なロマン派の系譜に連なる一人であったことが認識できる。
『夏草の中で』は“管弦楽のための牧歌”という副題を持つ1904年の作品で、まだシェーンベルクに入門する前の作品。まだまだ後期ロマン派の香り漂う音楽で、明らかにリヒャルト・シュトラウスの影響が感じられる。個人的には広上淳一さんがロイヤル・フィルを振って録音したマーラーの4番のカップリングされていたので、何度か聴いたことはあった(このアルバムは間違いなく広上さんの代表作だと思います)。
そしてもう一曲、ウェーベルンの『交響曲 作品21』はシェーンベルクの十二音技法を用いた1928年の作品。この曲はこのアルバムが配信された時に初めて聴いたのですが、とても前曲と同じ作曲家の作品だとは思えず、冒頭が「吹奏楽部の金管部員が練習してるみたいな曲だな…」と感じたのを思い出した(すいません)。まあ、十二音技法も大雑把な知識だけで難しいことはよくわからないのだが、ジャズの世界でも調の束縛から逃れるためにモードジャズやフリージャズが出てきたように、どの世界でも新しい世界に踏み込んで見たいという革新的な人は現れるし、そういう人がいてこそ世の中は進歩してきたわけだから、好き嫌いとは別の話でこういう曲も興味深いし、知らないものを知るのは楽しい経験だ。
まあそういう曲だから聴いてて結構緊張感を強いられるので、終わった後に拍手なしでスーっとシューマンが始まると、凄く新鮮だしホッとする。やっと下界に降りてきたなあ(?)って感じ。
シューマンはずっと食わず嫌いだったこともあって、ここ数年でよく聴くようになった作曲家。昔はブラームスの方が好きで、やっぱり「ブラームス=渋い・オーケストレーションが上手い」、「シューマン=あか抜けない・オーケストレーションが下手」という先入観がずっとあって、ブラームスを聴いてる自分の方が音楽わかってるでしょ…みたいな気持ちがあった(若かったんです)。でも、ようやくシューマンの素朴さや、素朴さの影に潜む狂気みたいなものが理解できるようになってきた気がする。古今東西のピアノ協奏曲で最も好きなのはシューマンだし、シューマンの交響曲のよく言われる“くすんだ”響きも何が悪いのか自分みたいな素人にはよくわからない。
シューマンの交響曲といえば、去年サンフランシスコ交響楽団(指揮はティルソン・トーマス)が全集を出しました。これがまた素晴らしい録音。ぜひ聴いてみてください。
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